制度のきほん

いま保育で何が起きているのか 6つの流れで整理しました

保育のニュースは、毎週のように何かが出てきます。1つずつ追っていると、全体として何が動いているのかが見えにくくなります。

ここでは、いまの保育の大きな流れを6つに分けて整理しました。一言でいえば、「足りない園を増やす」時代から、「中身と、すべての子ども」の時代へ移りつつあります。 ただし、地域によって進み方はまったく違います。

それぞれの流れについて、このサイトで原典から書いた記事への入口も置いています。

ひとまず、この表だけで足ります

流れ何が起きているか主な数字・時期
1. 量から質へ、ただし二極化都市部は待機児童が再び増え、過疎地は定員が埋まらない待機児童 2,435人(2026年4月)、過疎地域の定員充足率 72.7%
2. 保育の中身を言葉にする指針の見直しで「遊び」を学びとして説明する方向へ取りまとめ案(2026年8月)の段階
3. 質を見る、測る自己評価・第三者評価の見直し、園の経営情報の公表第三者評価の改善モデル事業(令和8年度)
4. 働く親のためから、すべての子どもへ0〜2歳は親が働いていなくても通える制度が始まったこども誰でも通園制度(2026年4月から)
5. 安全と子どもの権利職員による虐待の通告義務、性犯罪歴の確認通告義務(2025年10月から)、確認の開始(2026年12月25日から)
6. 人の問題配置基準は改正されたが、人は足りない4・5歳児 25対1(2024年度から)、1歳児の加算の取得率 47.1%

1. 量から質へ、ただし二極化

長いあいだ、保育の最大の課題は待機児童でした。園を増やし、定員を増やす「量」の時代です。

その待機児童は、2026年4月時点で2,435人でした。前の年(2,254人)からは181人増えています。上位5位はすべて東京都の自治体です。くわしくは待機児童の記事にまとめています。

一方で、子どもは減っています。2025年の合計特殊出生率は1.14で、過去最低でした。こども家庭庁の取りまとめでは、2026年4月時点の定員充足率は、都市部が90.9%なのに対して、過疎地域では72.7%です。過疎地域は5年前の81.3%から下がり続けています。

都市部では入れない子がいて、地方では園が子どもを集められない。全国で同じ「量から質へ」が起きているわけではありません。 地方の園を残すための加算もできましたし(過疎地の加算の記事)、保育園の倒産・廃業は、2026年1〜8月の同じ期間としては過去最多でした(倒産の記事)。園を閉じるときの手続きは閉園の記事に書きました。

2. 保育の中身を言葉にする

保育所保育指針の見直しが、国の審議会で進んでいます。2026年8月時点で「取りまとめ(案)」の段階です。

中心にある言葉は「遊びの深まり」です。子どもの遊びを、資質・能力が育つ学びのプロセスとして説明しようとしています。保育者が意図をもって環境を整えること、記録と振り返り(乳幼児理解に基づいた評価)、0歳児からの育ちの見方も並んでいます。案には「0歳~18歳までの育ちや学びを見通し」という言葉もあり、小学校以降の学習指導要領とのつながりが強く意識されています。くわしくは指針の見直しの記事にまとめました。

いつ変わるのかは、まだはっきりしません。文部科学省の資料では、幼稚園教育要領などは「令和8年度末に改訂、令和10年度から全面実施」というスケジュールのイメージが示されています(変更の可能性ありと付記)。保育所保育指針の時期は、こども家庭庁の公式資料では確認できませんでした。

現場で起きている変化も、この流れと重なります。「見て覚える」から「言葉で説明する」へ。一斉保育から遊びを中心にした保育へ移る先生向けの記事(保育中の役割、「放任では?」、環境を作りはじめた先生の5つの悩み)も、この流れの中にあります。誰がこうしたルールを決めているのかは審議会の名簿の記事で調べました。

3. 質を見る、測る

保育の質を、園の中だけでなく外からも見えるようにする動きがあります。

保育所には自己評価が義務づけられていて、第三者評価は努力義務です。ただ、こども家庭庁の資料自身が、第三者評価は「必ずしも保育そのものの改善に十分踏み込めていない」という指摘があると書いています。令和8年度には、国立教育政策研究所が開発した保育の質の評価スケール案などを使う「第三者評価改善モデル事業」が新しく始まりました。

園の経営情報も公開されるようになりました。離職率や有給休暇の消化率まで、誰でも見られます(見える化の記事)。自治体が配っている振り返りの道具(足立区の振り返りシート)や、監査で何が見られているか(監査の記事)も、この流れに入ります。

4. 働く親のためから、すべての子どもへ

保育所は、もともと「保育を必要とする」子ども、つまり親が働いているなどの理由がある子どものための場所でした。

2026年4月から、こども誰でも通園制度が全国で始まりました。親が働いていなくても、0歳6か月から3歳未満の子どもが、月に一定の時間まで園に通えます。上限は法令で月10時間ですが、2028年3月までは、市町村が3時間以上10時間未満の範囲で決めることもできます。制度の中身は誰でも通園の記事とお金の記事にあります。

保育料の負担を下げる動きも広がっています。東京都や大阪市の0〜2歳の無償化(東京、大阪市)、中核市の動き(中核市の記事)、国の無償化の上限の引き上げ(無償化の上限の記事)などです。障害のある子どもや、配慮が必要な子どもを含めた保育のあり方はインクルーシブ保育の記事に書きました。

子どもの側から見れば、これは「親の事情で通えるかどうかが決まる」場所から、「どの子にも開かれた」場所へ、という変化です。 ただ、待機児童のいる地域では、受け入れる余裕そのものが足りていません。

5. 安全と子どもの権利

子どもを守る仕組みが、法律で強められています。

2025年10月1日から、保育所などの職員による虐待を見つけた人には、自治体への通告が義務づけられました。こども家庭庁のQ&Aでは、通告の義務は保護者か職員かを問わず、見つけた人すべてにかかるとされています。通告した職員を、解雇などで不利に扱ってはいけないことも、法律に書かれています。

2026年12月25日からは、こども性暴力防止法が施行されます。認可保育所・認定こども園・幼稚園では、保育士や幼稚園教諭の性犯罪歴の確認が義務になります(性暴力防止法の記事)。

事故の防止も、この流れの一部です。重大事故の8割は骨折で(骨折事故の記事)、死亡事故の半分以上は認可外保育施設で起きています(死亡事故の記事)。「不適切な保育」をどう考えるかは不適切保育の記事と言葉の記事に、園が気づいた虐待の疑いをどこにつなぐかは要保護児童の記事にあります。

6. 人の問題

どの流れも、最後は人にかかっています。

2024年度から、4・5歳児の配置基準が30対1から25対1になりました。76年ぶりの改正です。3歳児は15対1です。1歳児については最低基準は6対1のままで、5対1にした園につく加算が2025年度から始まりました。ただし、処遇改善等加算を3区分すべて取っていること、ICTを使っていること、職員の平均経験年数が10年以上であること、という3つの要件があります。こども家庭庁の調査では、2025年7月時点の取得率(取得予定を含む)は47.1%でした。くわしくは配置基準の記事にあります。

給与の面では、処遇改善等加算が3区分に整理され(処遇改善の記事、誰が対象か)、キャリアアップ研修の要件も見直されています(研修の記事)。一方で、家賃補助の縮小(家賃補助の記事)、紹介手数料の高さ(紹介手数料の記事)、自治体ごとに違う支援の届き方(自治体の支援の記事)など、保育士一人ひとりの暮らしに関わる話も続いています。

配置基準も処遇も、子どもの側から見れば、そばにいる大人が何人いて、その人が明日も来てくれるかという話です。

6つの流れは、つながっています

子どもが減る中で園が選ばれるには、質が問われます。質を高めるには、保育の中身を言葉にし、外から見えるようにする必要があります。すべての子どもに開かれた場所にするほど、安全の仕組みが要ります。そして、どれも人がいなければ始まりません。

このサイトでは、これからも一つひとつの流れについて、原典にあたって書いていきます。

明日、確かめられること

  1. 自分の園の地域が、待機児童の多い地域か、定員が埋まりにくい地域かを確かめる。同じニュースでも、どちらに当てはまるかで意味が変わります
  2. 自分の園で、こども誰でも通園制度を実施しているか、何時間の設定かを聞く
  3. 12月25日からの性犯罪歴の確認について、園から説明があったか確かめる
  4. 気になる流れがあれば、上の記事から1本だけ読んでみる

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