ニュース解説

無償化の上限が7年ぶりに上がります 認可外は月4万300円まで

10月1日から、幼児教育・保育の無償化の「上限」が上がりました。令和元年10月に無償化が始まってから、一度も変わっていなかった額です。

上がるのは、上限つきで補助を受けている人だけです。認可保育所に通っている子は、もともと保育料がかからないので何も変わりません。変わるのは、認可外保育施設、幼稚園の預かり保育、私学助成の幼稚園を使っている家庭です。

ひとまず、この表だけで足ります

金額はすべて1か月あたりの上限です。

使っているもの9月まで10月から対象になる条件
認可外保育施設など(3〜5歳児クラス)37,000円40,300円保育の必要性の認定
認可外保育施設など(0〜2歳児クラス)42,000円45,700円保育の必要性の認定+住民税非課税世帯
幼稚園の預かり保育(3〜5歳児クラス)11,300円12,300円保育の必要性の認定
幼稚園の預かり保育(満3歳児)16,300円17,700円保育の必要性の認定+住民税非課税世帯
私学助成の幼稚園の保育料25,700円28,000円満3歳以上
認可保育所・認定こども園・給付型の幼稚園0円0円変わらない

「認可外保育施設など」には、認可外のほか、一時預かり事業、病児保育事業、ファミリー・サポート・センターが含まれます。「満3歳児」は、3歳の誕生日を迎えてから最初の3月31日までの子(年少クラスに上がる前)のことです。

以下は、それぞれの根拠と、間違えやすいところです。

決めているのは政令です

上限額は、子ども・子育て支援法施行令の第15条の6に書かれています。5月29日に改正の政令(令和8年政令第188号)が公布され、10月1日に施行されました。改正後の条文はこうです。

施設等利用費の額は、二万八千円(略)とする。

これが私学助成の幼稚園の分です。認可外のほうはこう書かれています。

施設等利用費の額は、四万三百円(略)とする。

0〜2歳児クラスの分は、同じ条の最後で読み替えています。

第二項第二号及び第三号中「一万二千三百円」とあるのは「一万七千七百円」と、前項中「四万三百円」とあるのは「四万五千七百円」と読み替えるものとする。

改正前の条文と突き合わせると、5つの額がすべて表のとおりに変わっています。

なぜ上げたのかは、こども家庭庁の予算資料に書かれています。

令和元年10月の3~5歳児の無償化時から据え置いていた給付上限額について、直近の物価水準や賃金動向等を踏まえ、右表のとおり見直しを実施する。

自治体・施設等の準備期間に鑑み、当該単価見直しは、令和8年10月から実施。(令和8年4~9月は現行単価を維持。)

保育料が上限を超えた分は、家庭が払います。上限が据え置かれたまま保育料が上がれば、その分だけ持ち出しが増えていく仕組みです。

上限であって、定額ではありません

条文には、括弧書きでこう続きます。

(現に当該特定子ども・子育て支援施設等に係る特定子ども・子育て支援に要した費用の額が二万八千円を下回る場合には、当該現に特定子ども・子育て支援に要した費用の額)

保育料が上限より安ければ、支給されるのは保育料の額までです。たとえば保育料が月35,000円の認可外なら、9月までも10月からも35,000円が支給され、持ち出しは0円のまま変わりません。

上限の引き上げで持ち出しが減るのは、保育料が9月までの上限を超えていた家庭です。 月45,000円の認可外(3〜5歳児クラス)なら、持ち出しは8,000円から4,700円に下がります。

0〜2歳は、住民税非課税世帯に限られています

表のとおり、0〜2歳児クラスの額には「住民税非課税世帯」という条件が付いています。これは今回の改正で付いたものではなく、無償化の仕組みそのものがそうなっています。子ども・子育て支援法の第30条の4は、対象の3つ目をこう定めています。

満三歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある小学校就学前子どもであって、(略)家庭において必要な保育を受けることが困難であるもののうち、その保護者及び当該保護者と同一の世帯に属する者が(略)市町村民税(略)を課されない者(略)であるもの

0〜2歳で認可外に預けている家庭のうち、住民税がかかっている世帯は、国の無償化の対象ではありません。 上限が上がっても、そこは変わりません。

なお、東京都や大阪市のように、自治体が独自に0〜2歳の保育料を補助している地域もあります。対象になる施設の範囲は自治体ごとに違います。

認可外は、基準を満たしている施設が対象です

認可外保育施設なら、どこでも無償化の対象になるわけではありません。法律は、国の基準(指導監督基準)を満たしていることを条件にしています。

無償化が始まったときには5年間の猶予がありましたが、令和6年9月末で終わりました。国のFAQはこう書いています。

猶予期間終了後、指導監督基準を満たしていない施設については、無償化の対象から外れることとなります。

ただ、同じ回答の続きに例外があります。

設備基準などを満たしていないために、基準を満たすために相当の期間を要し、かつ、認可保育所等に転園することが困難であるケース(外国人児童の多い施設や夜間・深夜帯の保育を常態として行っている施設など)について、都道府県知事が個別に施設を指定することで、例外的に無償化の対象施設(基準を満たした施設)とみなす、新たな経過措置を設けます(令和11年度末まで)。

認可外保育施設の現況を見ると、夜間に子どもを預かるベビーホテルは、調査が入った中で基準に適合していない割合がいちばん高い類型でした(32.8%)。認可の園が開いていない時間に働く家庭にとっては、ほかに預け先がないこともある施設です。 そこを無償化から一律に外さないための措置で、指定を受けた施設なら今回の引き上げも届きます。

受け取り方は、市区町村で違います

保育料をいったん全額払ってから後で戻ってくる(償還払い)のか、最初から上限額を差し引いた額を払えばよい(現物給付)のかは、住んでいる市区町村によって違います。FAQは、私学助成の幼稚園についてこう書いています。

居住地の市町村が実情に応じて柔軟に支給方法を判断できることとしています。

いつ請求するか、何が要るかも市区町村によって違うので、窓口に確かめるのが確実です。

明日、確かめられること

  1. 表で、自分の子(または園の子)がどの行に当たるかを見る。認可保育所・認定こども園・給付型の幼稚園なら、何も変わりません
  2. 保育料が9月までの上限を超えていたかを見る。 超えていなければ、今回の見直しで持ち出しは変わりません
  3. 認可外や幼稚園で働いているなら、園の保育料と新しい上限を並べておく。 保護者に聞かれたときに、10月から持ち出しがいくら減るかをその場で答えられます
  4. 0〜2歳で認可外に預けている場合、住んでいる自治体に独自の補助があるかを調べる。 国の無償化の対象外でも、自治体の制度で補助を受けられることがあります
  5. 支払い方法(償還払いか現物給付か)と、請求の時期を、市区町村のこども関係の窓口に聞く

額が上がったこと自体は、使っている家庭にとって悪い話ではありません。ただ、上がったのは上限つきの補助を受けている側です。そこには幼稚園を選んだ家庭のほかに、認可ではなく認可外を使っている家庭や、認可の園が開いていない時間に働く家庭もいます。7年ぶりに見直されたのは、その人たちの持ち出しです。

この記事はいかがでしたか?

もう少し詳しく伝えたいことがあればご意見・お問い合わせからどうぞ。 いただいた内容は公開されません。