10年で77件の死亡事故 半分以上は認可外保育施設でした
保育施設等で起きた死亡事故は、国が集計を始めた平成27年から令和6年までで77件。そのうち41件が「その他の認可外保育施設」でした。認可外を使う子どもは、認可保育所などの12分の1に届きません。有識者会議の年次報告から、数字と、国が書いている対策を読みました。
保育中の死亡事故と聞いて、どこの園を思い浮かべるでしょうか。
国の集計を10年分並べると、死亡事故の半分以上は、認可外保育施設で起きています。
こども家庭庁の有識者会議が毎年まとめている年次報告(令和7年度版、令和8年6月)に、集計を始めた平成27年からの推移が載っています。
10年で77件、うち41件が「その他の認可外」
平成27年から令和6年までに国へ報告された死亡事故は77件です。施設の種類別に並べると、こうなります。
| 施設の種類 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| その他の認可外保育施設 | 41件 | 53.2% |
| 認可保育所 | 19件 | 24.7% |
| 幼保連携型認定こども園 | 5件 | 6.5% |
| 放課後児童クラブ | 3件 | 3.9% |
| 小規模保育事業 | 2件 | 2.6% |
| 家庭的保育事業 | 2件 | 2.6% |
| そのほか(各1件) | 5件 | — |
「そのほか」は、幼稚園型と保育所型の認定こども園、一時預かり事業、病児保育事業、地方単独保育事業が1件ずつです。
年次報告では、認証保育所のような自治体独自の基準の施設(地方単独保育施設)と企業主導型保育施設は別の行で数えられていて、それ以外の認可外が「その他の認可外保育施設」です。施設数の欄には、ベビーホテル・その他の認可外と、事業所内保育施設が並んでいます。
年ごとの件数は次のとおりです。
| 年 | H27 | H28 | H29 | H30 | R1 | R2 | R3 | R4 | R5 | R6 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 全体 | 14 | 13 | 8 | 9 | 6 | 5 | 5 | 5 | 9 | 3 |
| うち「その他の認可外」 | 9 | 7 | 4 | 6 | 3 | 2 | 3 | 3 | 3 | 1 |
全体は減ってきています。年次報告の言葉では「減少傾向」です。それでも最初の4年間は、毎年半分かそれ以上が「その他の認可外」でした。
子どもの数は、12分の1に届きません
41件という数字は、子どもの数と並べると重さが変わります。
認可の保育所・認定こども園・小規模保育などを利用している子どもは、令和6年4月で2,705,058人です。
認可外保育施設のほうは、令和7年3月末で就学前の子どもが208,811人。しかもこの数には、企業主導型保育施設やベビーシッター(認可外の居宅訪問型保育)を使っている子どもまで含まれています。「その他の認可外」だけに絞れば、もっと少なくなります。
それでも、多めに見積もった数で比べてみます。
| 子どもの数 | 10年間の死亡事故 | |
|---|---|---|
| 認可保育所・認定こども園・小規模保育・家庭的保育 | 約270万人 | 30件 |
| 「その他の認可外」 | 約21万人より少ない | 41件 |
子どもの数は時点が1つだけで、事故は10年分の累計です。施設の区分も、2つの資料で完全には揃いません。だから、ここから正確な発生率は出せません。
ただ、この数字のまま割り算すると、子どもの数あたりで17倍以上の差になります。正確な率ではありませんが、誤差で埋まる差ではありません。
負傷の報告は1.1%しかない
同じ年次報告には、死亡以外の事故(骨折や意識不明など)の件数も載っています。こちらは並び方がまるで違います。
| 認可保育所 | その他の認可外 | |
|---|---|---|
| 死亡(10年) | 19件(24.7%) | 41件(53.2%) |
| 意識不明(10年) | 85件(64.9%) | 7件(5.3%) |
| 負傷等すべて(10年) | 9,482件(50.3%) | 208件(1.1%) |
負傷の報告では、「その他の認可外」は全体の1.1%です。死亡だけが53.2%になります。
この差がどこから来るのかは、年次報告には書かれていません。ここでは、死亡事故の分布と、それ以外の事故の分布がまったく違う、という事実だけを置いておきます。
令和6年の3件は、2件が睡眠中でした
直近の令和6年は3件でした。年次報告の本文です。
施設別の件数は、幼保連携型認定こども園 1 件、認可保育所1件、その他の認可外保育施設1件であった。
死亡事故の発生時の状況としては、睡眠中が2件(0歳児、1歳児)、食事中(1歳児)が1件であった。
続けて、睡眠中の事故防止について、こう書かれています。
医学的な理由で医師からうつぶせ寝をすすめられている場合以外は、乳児の顔が見える仰向けに寝かせることや、こどもの数、職員の数に合わせ、定期的にこどもの呼吸・体位・睡眠状態を点検すること等を徹底することが重要である。
併せて、預かり始めの時期は特に注意深く見守ることや、1歳以上であっても定期的な確認を行い、こどもの発達や健康状態を把握して、その状況に応じて仰向けに寝かせることが必要であることについて、これまでの年次報告で指摘している。
「1歳以上であっても」とわざわざ書かれています。午睡チェックを0歳児だけのものと考えていると、ここが抜けます。
なお、令和7年の集計では、死亡事故は放課後児童クラブの1件で、未就学児の施設では0件でした(骨折事故の記事で扱っています)。
有識者会議が出した答えは「研修を続ける」
今年度の有識者会議は、認可外保育施設で起きた午睡中の死亡事故について、2つの自治体から話を聞いています。
委員からは、預かり始めのリスクや、うつぶせ寝の危険性などを浸透させるためには、認可、認可外を問わず施設長をはじめ、保育に従事する職員に対する研修を継続していくよりほかないとの意見や、事故を減らしていくためには指導監査において県と市町村が連携を強化した上、実際に保育の現場を確認する中で注意すべき点を専門的に指導していく必要があるなどの意見が上がった。
そのうえで2つの自治体には、指導監査での県と市町村の連携、指導監査の質の向上、研修参加を促す取り組みなどを進めるよう提言しています。
有識者会議が自治体に求めたのは、研修に参加しやすくすることと、現場に足を運んで指導することでした。 施設の職員にもっと気をつけろ、という形にはなっていません。
その「現場に足を運ぶ」がどこまでできているかは、別の資料にあります。認可外保育施設の記事で読んだとおり、令和6年度に立入調査が入ったのは、届出のある施設の65.3%でした。
認可外を使う人を責める話ではありません
この数字を見て「だから認可外は危ない」と言うのは簡単です。
けれど、認可外を使っている家庭には、ほかに選択肢がない人もいます。夜間に働いている、認可の園に入れなかった。認可外保育施設の記事では、24時間保育されている子どもが236人、主に夜間が1,981人いること、そしてその子たちがいるベビーホテルが、4類型でいちばん基準を満たしていなかったことを書きました。
認可外で働いている保育者も、認可の園と同じ条件ではありません。指導監督基準で保育士か看護師であることが求められているのは、職員のおおむね3分の1以上です。
この10年の数字が示しているのは、守りの薄いところに事故が集まっているということです。 薄くしているのは、利用者でも現場の職員でもありません。
明日、確かめられること
- 午睡チェックが1歳以上にも行われているかを見る。 年次報告には「1歳以上であっても定期的な確認を行い」とあります
- 4月や途中入園の子どもの、最初の数週間の寝かせ方を確認する。 「預かり始めの時期は特に注意深く見守る」ことは、これまでの年次報告で指摘されてきたことです
- 認可外で働いている、または働く予定なら、自治体の研修に参加できるかを自治体に聞いてみる。 有識者会議は「認可、認可外を問わず」研修を続けることを挙げています
- 保護者が認可外を併用していると聞いても、責めない。 その家庭にとって、ほかに選択肢がないことがあります
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