園を閉じるには予告期間が要ります 転園先の世話も園の義務です
園が閉じるという話は急に降ってくるように見えますが、法律には手順が書かれています。私立幼稚園は知事の認可、民間の保育所は知事の承認。そして給付の側では、園の種類を問わず「三月以上の予告期間」と、転園先との連絡調整が義務になっています。条文から整理しました。
園が閉じるという話は、子どもにも保護者にも、そこで働いている人にも、たいてい急に降ってきます。ただ、手順そのものは法律に書かれています。 知っていると、聞かれたときに答えられます。
まず、園だけでは閉じられません
閉じ方は園の種類で分かれます。
私立の幼稚園は、都道府県知事の認可が要ります。
次の各号に掲げる学校の設置廃止、設置者の変更その他政令で定める事項(次条において「設置廃止等」という。)は、それぞれ当該各号に定める者の認可を受けなければならない。
三 私立の幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校 都道府県知事
しかも、知事が判断する前に通る場所があります。
都道府県知事は、私立大学及び私立高等専門学校以外の私立学校について、学校教育法第四条第一項の認可をし、…ときは、あらかじめ、私立学校審議会の意見を聴かなければならない。
保育所のほうは児童福祉法です。市町村立か、それ以外かで扱いが変わります。
市町村は、児童福祉施設を廃止し、又は休止しようとするときは、その廃止又は休止の日の一月前(当該児童福祉施設が保育所である場合には三月前)までに、内閣府令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。
国、都道府県及び市町村以外の者は、児童福祉施設を廃止し、又は休止しようとするときは、内閣府令の定めるところにより、都道府県知事の承認を受けなければならない。
読み比べると差があります。市町村立の保育所には「三月前まで」という期限が書かれていますが、民間の保育所のほうは「承認」とだけあって、法律の本文に期限がありません。
ただし、承認の中身は児童福祉法施行規則で決まっています。申請にはこれを付けることになっています。
一 廃止又は休止の理由
二 入所させている者の処置
三 廃止しようとする者にあつては廃止の期日及び財産の処分
前項の承認の申請を受けた都道府県知事は、必要な条件を附して承認を与えることができる。
期限は無くても、いま通っている子をどうするかを書かないと申請が成り立たない、という形になっています。知事が条件を付けることもできます。
お金の側には、期間が書いてあります
もうひとつ別の手続きがあります。園が公費を受け取るための「確認」を返上する手続きで、子ども・子育て支援法にあります。こちらには期間が書かれています。
(確認の辞退)第三十六条 特定教育・保育施設の設置者は、三月以上の予告期間を設けて、当該特定教育・保育施設に係る第二十七条第一項の確認を辞退することができる。
大事なのは、同じ形の条文が園の種類ごとに用意されていることです。
| 園・事業の類型 | 条文 |
|---|---|
| 特定教育・保育施設(施設型給付の幼稚園・保育所・認定こども園) | 第36条 |
| 特定地域型保育事業(小規模保育など) | 第48条 |
| 特定子ども・子育て支援提供者(施設型給付を受けていない幼稚園、認可外保育施設など) | 第58条の6第1項 |
特定子ども・子育て支援提供者は、三月以上の予告期間を設けて、当該特定子ども・子育て支援施設等に係る第三十条の十一第一項の確認を辞退することができる。
どの類型でも「三月以上」です。 自分の園がどれに当たるかを調べなくても、ここは同じだと分かります。
転園先の世話は、園の義務です
期間よりも効くのがこちらです。確認を辞退する園には、次の義務がかかります。
特定教育・保育施設の設置者は、…第三十六条の規定による確認の辞退をするときは、…予告期間の開始日の前一月以内に当該特定教育・保育を受けていた者であって、…引き続き当該特定教育・保育に相当する教育・保育の提供を希望する者に対し、必要な教育・保育が継続的に提供されるよう、他の特定教育・保育施設の設置者その他関係者との連絡調整その他の便宜の提供を行わなければならない。
「行うことができる」ではなく「行わなければならない」です。施設型給付を受けていない幼稚園や認可外保育施設の側にも、同じ義務が書かれています(第58条の6第2項)。
転園先を家庭が自力で探すのが当たり前、という話ではありません。
そして、園任せにもなっていません。
市町村長は、特定教育・保育施設の設置者による第三十四条第五項に規定する便宜の提供が円滑に行われるため必要があると認めるときは、当該特定教育・保育施設の設置者及び他の特定教育・保育施設の設置者その他の関係者相互間の連絡調整又は当該特定教育・保育施設の設置者及び当該関係者に対する助言その他の援助を行うことができる。
便宜の提供が円滑に進まないときに、市町村が間に入れる仕組みになっています。
「廃止」と「辞退」は別の手続きです
ここを混ぜると話が合わなくなります。
- 廃止 … 園という施設を無くすこと。私立幼稚園なら知事の認可、民間の保育所なら知事の承認
- 確認の辞退 … 公費の対象から外れること。三月以上の予告期間と、便宜の提供
別々に進むので、時期が一致するとは限りません。 ニュースなどで「◯月に閉園」と出ていても、それがどちらの日付なのかは記事からは分からないことが多いです。保護者から聞かれたときは、自分の園がいまどちらの手続きのどこにいるのかを確かめてから答えるのが安全です。
働いている側から見ると
閉園は雇用の話でもあります。園が閉じれば職を失いますが、そこは労働法の側の話で、ここまで見てきた条文は扱っていません。 保育の制度が守ろうとしているのは、通っている子どもの行き先のほうです。
保育所の廃業そのものが増えている状況は、保育園の倒産・廃業の記事に数字を置いてあります。
明日、確かめられること
- 保護者から「閉園したらどうなるんですか」と聞かれたら、転園先との連絡調整は園の義務だと知っておく。法律に「行わなければならない」と書かれています
- 市町村に連絡調整と援助の権限があります。園と保護者だけで抱える話ではありません
- 「閉園」の日付を聞いたら、それが廃止の日なのか、公費の確認を辞退する日なのかを分けて考える
- 自分の園の類型(施設型給付か、私学助成か、地域型保育か)を一度確認しておく。条文の入口が変わります
急に決まったように見えても、手続きには必ず行政が絡みます。 園と家庭の二者で完結する話ではない、というのがいちばん覚えておく価値のある部分だと思います。
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