制度のきほん( 更新)

キャリアアップ研修は60時間 今年度から要件が上がりました

キャリアアップ研修の要件が、今年度から上がりました。

去年までと同じつもりでいると、足りなくなる可能性があります。しかも研修は1分野15時間なので、足りないと分かってから慌てても、その年度内には間に合わないことがあります。

まず何が変わったのかを書いて、そのあと「修了したら4万円もらえるのか」という話に進みます。

今年度から、必要な分野が増えました

役職ごとの要件はこうなっています。

役職令和7年度(経過措置)令和8年度〜(今年度)
副主任保育士3分野以上3分野以上+マネジメント研修
専門リーダー3分野以上4分野以上
職務分野別リーダー担当する分野を含む1分野以上同じ

通知にはこう書かれています。

令和8年度から適用することとし、令和7年度は、(略)3以上の研修分野(略)を修了すること

去年は副主任も専門リーダーも3分野でよかったのが、今年度は副主任にマネジメントが追加され、専門リーダーは4分野になったということです。

1分野15時間なので、どちらも計60時間。土日開催が多いので、年度をまたぐ計画が要ります。

研修は6分野あります

専門分野別研修の中身はこの6つです。

①乳児保育、②幼児教育、③障害児保育、④食育・アレルギー対応、⑤保健衛生・安全対策、⑥保護者支援・子育て支援の6分野

このほかにマネジメント研修(15時間以上)と、保育実践研修があります。

保育実践研修は加算の要件には使えません。 これは保育士試験に合格した人や、長く現場を離れていた人向けの研修で、区分3の要件として認められているのは専門分野別研修とマネジメント研修だけです。

修了しても、4万円とは限りません

ここがいちばん誤解されているところだと思います。研修を修了したら月4万円、ではありません。

理由は2つあります。

1. 園の人数枠が上限になっている

加算額の計算はこうなっています。

(基準人員×1/3(1/5))と研修修了者数の少ない方の数で算定

4万円の対象になる人数は「基礎職員数の3分の1」が上限です。園の職員が30人なら10人まで。枠が埋まっていれば、修了しても対象になりません。

逆に、修了者が枠より少なければ、その分だけ園に入る加算額も小さくなります。研修を受けることが自分の給与にも園の収入にもつながる、という関係になっています。

2. 金額も固定ではありません

4万円は上限であって、全員が4万円ではありません。

施設の状況に応じ4万円を上限として柔軟な設定を可能

「4万円支給を1人以上」という条件を満たせば、あとは園が配分を決められます。「研修を4分野も受けたのに、4万円じゃなかった」が起きるのはこの仕組みのためです。

職務分野別リーダー等は月額5千円で、こちらの枠は「基礎職員数の5分の1」です。

なお区分3は、基本給か毎月決まって支払われる手当で払われます。

区分3は従前どおり基本給・決まって毎月支払われる手当により改善

賞与にまとめて上乗せする形は認められていません。給与明細の毎月の欄を見ることになります。

処遇改善等加算そのものの仕組みは別の記事に書きました。

受けないとどうなるのか

「受けないとどうなるの?」と気になっている人もいると思います。

まず、研修を受けること自体を義務づける規定は見当たりませんでした。研修の中身を定めた国のガイドラインは、自治体への「技術的助言として発出するもの」とされています。対象も、それぞれの分野で「リーダー的な役割を担う者(当該役割を担うことが見込まれる者を含む。)」です。

受けない場合に関わってくるのは、処遇改善等加算の区分3です。区分3の対象になる副主任保育士等の要件は、国の通知にこう書かれています。

概ね7年以上の経験年数(注3)を有するとともに、別に定める研修を修了していること。

職務分野別リーダー等も、経験年数とあわせて研修の修了が要件です。研修を受けていなければ、区分3の賃金改善(月4万円や5千円)の対象にはなれません。ただし、その年度のうちに修了する予定で、園の研修計画に書かれ、本人に知らされている人は「研修修了見込みの者」として対象に含めてよいことになっています。

一方で、受けなかったことへの罰則や、保育士資格への影響を定めた規定は、ガイドラインにも通知にも見当たりませんでした。児童福祉法が定める保育士の登録取消しの理由にも、研修の未受講は入っていません。

つまり、受けなくても保育士として働き続けることはできます。変わるのは、区分3の手当の対象になれるかどうかです。 リーダー的な役割を任されそうなら、早めに計画を立てておくほうが安心です。

転職しても無効になりません

これは知っておくと安心できる話です。

修了証については、修了した研修が実施された会場の所在地の都道府県以外の都道府県においても効力を有するものとする

修了証は全国で有効です。 東京で受けた研修が、大阪に移っても使えます。

紛失や改姓のときも規定があります。

都道府県及び研修実施機関は、研修修了者の氏名の変更や修了証の紛失等の申し出があった際は、修了証の再発行を行うものとする

再発行してもらえるので、見当たらなくても諦めなくて大丈夫です。

レポートで落ちることはありません

研修の最後にレポートを書かされますが、ガイドラインにこう書かれています。

レポート自体に理解度の評価(判定)を行って、修了の可否を決定することまでは想定していない

修了の条件は15時間すべて受講したことで、レポートは理解を確認するためのものです。書いた中身で落とされる仕組みにはなっていません。

ただし、受講態度が著しく不適切な場合などは修了の評価を行わないことができる、とも書かれています。

園内研修で、時間を減らせます

意外と知られていない仕組みがあります。

1分野最大4時間の研修時間が短縮されるものとする

園がやる研修を都道府県に申請して認められれば、その分野の研修時間が最大4時間短くなります。15時間が11時間になる計算です。講師の要件などの条件はありますが、園として申請する価値はあります。

幼稚園・こども園は数え方が違います

同じ「専門リーダー」でも、施設の種類で要件の数え方が変わります。

要件の数え方
保育所・地域型保育事業所分野数(3分野+マネジメント/4分野)
幼稚園・認定こども園時間数(合計60時間以上)
通知の「対象者及び修了すべき研修時間」には、こう書かれています。

中核リーダー及び専門リーダー 合計60時間以上(ただし、中核リーダーについては、15時間以上のマネジメント分野に係る研修を含む。また、園内研修については、15時間以内の範囲で含めることができる。)

こども園では役職の呼び方も違って、中核リーダー・専門リーダー・若手リーダーになります。

幼稚園やこども園から保育所へ移った場合の救済規定もあります。 前の施設で必要な時間数を受けていることが確認できれば、保育所の要件を満たすものとして扱われます(通知のⅥ)。転職で研修がゼロに戻るわけではありません。

幼稚園の研修の数え方と、修了しても手当が出ない理由(発令されて初めて対象になること)は、幼稚園の処遇改善と研修の記事にまとめました。

明日、確かめられること

  1. 自分が今、何分野修了しているか数える。 修了証を集めて分野名を確認します。今年度から専門リーダーは4分野なので、3分野で止まっている人は1つ足りません
  2. 副主任なら、マネジメント研修を受けているか。 今年度から必須になった部分です
  3. 園に、今年度の受講計画があるか聞く。 加算の認定では修了証の写しの提出が想定されているので、園も把握しているはずです
  4. 修了証が見当たらないなら、再発行を頼む。 受けた都道府県か研修実施機関に申し出ます
  5. 枠が空いているか聞いてみる。 「基礎職員数の3分の1」に達していない園なら、修了することが自分と園の両方に効きます

研修の日程は都道府県ごとに公表されています。こども家庭庁にも一覧のページがありますが、内容が平成30年時点のままで、リンク切れが多い状態です。 自分の都道府県の保育担当課のサイトから探すほうが確実です。

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