ニュース解説

認可外の3分の1は調べられていません 立入調査の実施率は65.3%

こども家庭庁が8月28日に、令和6年度の認可外保育施設の現況を公表しました。

先に断っておくと、数字は1年半前のものです。 基準日は令和7年3月31日、つまり2025年3月末。公表は今年の8月なので、1年5か月の開きがあります。

これは今回だけ遅いわけではありません。令和4年度分は2024年8月、令和5年度分は2025年9月の公表で、毎回1年半ほど遅れて出ます。 全国2万か所を都道府県ごとに集計して取りまとめる調査なので、そういう性質のものだと思って読むことになります。

そのうえで読んでいて、いちばん引っかかったのはここでした。届出のある20,068か所のうち、立入調査が入ったのは13,104か所。実施率65.3%です。

残りの6,964か所は、その年度に調査を受けていません。

そもそも、認可外とは

資料の冒頭に定義が書かれています。

「認可外保育施設」とは、児童福祉法に基づく認可を受けていない保育施設のことで、「認証保育所」などの地方単独保育事業の施設も対象に含みます

東京都の認証保育所のように、自治体が独自に基準を設けているものも、国の分類では認可外に入ります。認可外だからといって、無認可でやっているという意味ではありません。

そして指導監督の位置づけがこうです。

指導監督は、これらの施設が、児童を保育するのにふさわしい内容や環境を確保しているかを確認するため、都道府県等が立入調査するものです

認可と、具体的に何が違うのか

「認可を受けていない」だけでは中身が分かりません。認可外に適用される指導監督基準と、認可の基準を並べます。

認可保育所認可外(指導監督基準)
職員の資格全員が保育士おおむね3分の1以上が保育士か看護師
0歳児3人に1人3人に1人
1・2歳児6人に1人6人に1人
3歳児15人に1人20人に1人
4歳以上児25人に1人30人に1人
保育室の面積乳児室1.65㎡/ほふく室3.3㎡/2歳以上1.98㎡全年齢おおむね1.65㎡

資格については、こう書かれています。

保育に従事する者のおおむね三分の一(略)以上は、保育士(略)又は看護師(准看護師を含む。以下同じ。)の資格を有する者であること

配置の数はこうです。

乳児概ね3人につき1人以上、1、2歳児概ね6人につき1人以上、3歳児概ね20人につき1人以上、4歳以上児概ね30人につき1人以上であること

0〜2歳は認可と同じ数字ですが、3歳以上は認可より緩いことになります。認可は3歳児15対1、4・5歳児25対1に改正されましたが、指導監督基準は20対1と30対1のままです。

面積も違います。

保育室の面積は、おおむね乳幼児1人当たり1.65m2以上であること

認可は乳児室・ほふく室・2歳以上と年齢で3つに分かれていますが、認可外は全年齢1.65㎡の一本です。

つまり「認可外は基準が緩い」と言うとき、緩いのは有資格者の割合、3歳以上の配置、そして面積ということになります。0〜2歳の配置人数は同じです。

調べられていない施設が3分の1あります

実施率を類型ごとに見ると、差がはっきりします。

類型施設数立入調査を実施未実施
ベビーホテル940809(86.1%)131(13.9%)
事業所内保育施設8,0786,816(84.4%)1,262(15.6%)
認可外の居宅訪問型保育7,4622,675(35.8%)4,787(64.2%)
その他の認可外3,5882,804(78.1%)784(21.9%)
合計20,06813,104(65.3%)6,964(34.7%)

居宅訪問型(ベビーシッター)が3分の1しか調べられていません。 内訳を見ると、個人で登録している6,929人のうち、調査が入ったのは2,413人(34.8%)です。

ベビーホテルのほうも気になります。資料にはこう書かれています。

やむを得ずに対象を絞る場合でもベビーホテルについては必ず年1回以上立入調査を行うこととされています

「必ず年1回以上」とされているのに、131か所(13.9%)が未実施でした。

自治体による差も出ています。実施率100%が30自治体(21.7%)ある一方で、30%未満が7自治体(5.1%)。児童相談所設置市(中核市を除く9自治体)に至っては、全体の実施率が32.0%でした。

調べた中では、5か所に1か所が基準に適合していません

では、調査が入った13,104か所はどうだったか。

類型適合適合していない
ベビーホテル544(67.2%)265(32.8%)
事業所内保育施設5,964(87.5%)852(12.5%)
認可外の居宅訪問型保育1,938(72.4%)737(27.6%)
その他の認可外2,036(72.6%)768(27.4%)
合計10,482(80.0%)2,622(20.0%)
前年度9,535(74.3%)3,295(25.7%)

ベビーホテルは3か所に1か所が、指導監督基準に適合していませんでした。

ただし全体では前年の25.7%から20.0%に下がっています。調査件数も12,830 → 13,104と増えているので、調べる数を増やしながら不適合率が下がったことになります。ここは改善している方向です。

適合していない項目は、4類型とも同じでした

何が引っかかっているのか。1位が全部同じでした。

類型1位件数
ベビーホテル安全確保への配慮147か所
事業所内保育施設安全確保への配慮342か所
認可外の居宅訪問型保育安全確保への配慮408か所
その他の認可外安全確保への配慮336か所

4類型すべてで「安全確保への配慮」がトップです。2位も、居宅訪問型を除く3類型で「非常災害に対する具体的計画(消防計画)の策定・訓練の実施」でした。

ただし「安全確保」は12項目のかたまりです

「安全が守られていない」と読むと少し違います。指導監督基準の「安全確保」は、アからシまで12項目あります。

  • 安全計画の策定と、職員への周知・研修・訓練、保護者への周知
  • 危険な場所や設備の管理、不審者の立入防止
  • 車の乗降時の点呼と、送迎車のブザー設置
  • 救命処置の訓練、賠償責任保険への加入
  • 事故の報告・記録、重大事故後の再発防止策

たとえばブザーの条文はこうです。

当該自動車にブザーその他の車内の児童の見落としを防止する装置を備え

保険についてはこう書かれています。

賠償責任保険に加入するなど、保育中の万が一の事故に備えること

このうち1つでも欠けていれば「安全確保への配慮」に計上されます。 書類が整っていないだけの施設も、救命訓練をしていない施設も、同じ枠に入ります。内訳までは資料に載っていません。

とはいえ、救命処置の訓練や賠償責任保険が抜けている可能性も、この中に含まれているということでもあります。

事故発生時に適切な救命処置が可能となるよう、訓練を実施すること

処分は、ほぼ指導で終わっています

適合していなかった2,622か所が、その後どうなったか。

処分件数
口頭指導951
文書指導1,663
改善勧告7
公表1
事業停止命令0
施設閉鎖命令0

99.7%が口頭指導と文書指導です。事業停止命令と施設閉鎖命令は、令和6年度は1件もありませんでした。

施設は減り、ベビーシッターが増えています

施設数の変化も、総数だけ見ると見誤ります。

類型令和7年3月令和6年3月増減
ベビーホテル9401,006▲66
事業所内保育施設8,0788,333▲255
認可外の居宅訪問型保育7,4626,949+513
その他の認可外3,5883,683▲95
合計20,06819,971+97

合計は97か所の増加ですが、建物のある施設は3類型とも減っていて、増えているのは居宅訪問型だけです。しかも内訳は事業者533に対して、個人が6,929。

いちばん増えている領域が、いちばん調べられていない領域ということになります。居宅訪問型の実施率は35.8%でした。

子どもは20万人います

規模も押さえておきます。

就学前入所児童数は208,811人であった。年齢別では、0~2歳児は124,664人、3歳以上の児童は82,636人

0〜2歳が12万人で、全体の6割です。認可の園に入りにくい年齢が、そのまま認可外の中心になっています。

なお「3歳以上」の8万人は、就学前なので3歳・4歳・5歳です。1歳きざみの内訳はこうなっています。

年齢人数割合
0歳27,05513.0%
1歳47,88622.9%
2歳49,72323.8%
3歳29,69614.2%
4歳以上52,94025.4%
不明1,5110.7%

いちばん多い区分は「4歳以上」でした。 認可外は0〜2歳の受け皿という印象がありますが、4歳と5歳だけで5万人います。施設別に見ると「その他の認可外保育施設」で4歳以上が28,677人(38.7%)と多く、幼児教育をうたう施設などが含まれていると思われます。

小学生も8,481人いますが、こちらは上の208,811人とは別に数えられています。

ベビーホテルは、思っている施設と違うかもしれません

不適合率が32.8%といちばん高かったベビーホテルですが、中身を見ると想像とずれます。

そもそもの定義がこうです。

ベビーホテルとは、①夜8時以降の保育、②宿泊を伴う保育、③一時預かりの子どもが利用児童の半数以上、のいずれかを常時運営している施設をいいます

③が入っているので、夜をやっていない一時預かりの施設も、ここに分類されます。

開所時間で見ると、こうなっていました。

区分施設数割合
24時間14815.7%
宿泊869.1%
深夜566.0%
夜間20321.6%
昼間のみ44747.6%

半分近くが昼間のみです。子どもの側で見ても、10,888人のうち主に昼間が6,361人(58.4%)でした。

ただし、24時間保育されている子どもが236人、主に夜間が1,981人います。

夜勤のある仕事、ひとり親、頼れる家族が近くにいない。認可の園が開いていない時間に働く人にとっては、ここしか選択肢がないことになります。

そして、その施設がいちばん基準を満たしていませんでした。不適合率32.8%は4類型で最も高く、しかも「必ず年1回以上」とされている立入調査が131か所(13.9%)で行われていません。

選択肢が少ない人が使う施設ほど、確認が届いていない。 数字を並べると、そういう形になっています。

明日、確かめられること

認可外で働いている方、転職先として考えている方向けです。

  1. 自分の園に、今年度の立入調査が入ったか聞いてみる。 全体の34.7%は入っていません。入っていないこと自体は違反ではありませんが、外から確認されていない状態ではあります

  2. 消防計画と避難訓練の記録があるか確かめる。 4類型とも指摘の1位が「安全確保への配慮」、2位が消防計画と訓練でした

  3. 自治体のサイトで、自分の園の指摘事項を見る。 指導監督基準は、都道府県等が公表する項目にこう書いています。

    保育従事者数(うち保育士数)、指導監督における指摘事項等

    指摘を受けた内容は公表される建前になっています。「認可外保育施設 一覧 ◯◯県」で探すと、施設ごとの情報が出てきます

  4. 転職を考えるなら、類型を見る。 同じ認可外でも、事業所内保育施設の不適合率は12.5%、ベビーホテルは32.8%と開きがあります

数字は毎年更新されます。次の令和7年度分が出るのは、これまでの間隔なら来年の夏から秋。そのときにこの実施率が上がっているかは、追いかける価値があると思います。

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