制度のきほん( 更新)

療育支援加算とは 令和8年度から園の中の支援の加算に変わりました

障害のある子を受け入れている園には、公定価格に「療育支援加算」という加算がつくことがあります。

この加算は、令和8年度に中身が大きく変わりました。 以前の説明のまま覚えていると、いま園で求められていることとずれます。何が変わったのかと、よく一緒に検索されている「障害児保育加算」との違いを整理しました。

ひとまず、この表だけで足ります

令和7年度まで令和8年度から
何のための加算か主任保育士などが、地域の子どもの療育支援に取り組むため園で受け入れている障害のある子への、専門的な支援と受け入れ体制を強めるため
何を置くか主任保育士などの代わりの職員主任保育士などを補助する職員、または専門職(月60時間以上。条件を満たす施設は月90時間以上の区分もある)
園がすること—障害児の一覧表、個別の支援計画、家族支援、関係機関との連携などが必須
対象の施設保育所・認定こども園・幼稚園など小規模保育・家庭的保育・事業所内保育にも広がった

「地域のため」から「園の中の子のため」へ

こども家庭庁が令和8年度の見直しをまとめた資料には、変わる前の加算がこう説明されています。

主任保育士等が地域住民等の子どもの療育支援に取り組むために主任保育士等の代替職員を配置する

つまり、もともとは主任保育士などが園の外、地域の子どもの療育支援にも取り組むための加算でした。

見直し後の目的は、こう書かれています。

特性に応じた専門的支援を充実するとともに受入体制の強化(インクルージョンの推進)を図るため

園で受け入れている障害のある子に、専門的な支援を届けるための加算になった、ということです。小規模保育や家庭的保育、事業所内保育にも、新しくこの加算ができました。

専門職が、週2日ほど園に来る

新しくできたのが、専門職を置く区分です。国の留意事項通知には、要件がこう書かれています。

専門職が、月に60時間以上(1週に2日程度)、業務に従事していること

専門職として通知に挙がっているのは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、心理担当職員、保健師、看護師、准看護師、そして障害児の療育に関する知識と経験のある人です。看護師と准看護師は、受け入れている障害児が医療的ケア児の場合に限られます。あわせて「障害児保育に関する園内研修を年1回以上開催すること」も要件です。

ただし、国のFAQは「療育支援加算は専門職が直接的に教育・保育を行うことを評価する加算ではない」と書いています。専門職は子どもを直接保育するために来るのではなく、園の支援を専門の目で支えるために来る、という位置づけです。また、市町村の巡回支援や保育所等訪問支援で専門職が来る時間は、この60時間には数えられないとされています。

もう一つの区分は、主任保育士などを補助する職員を置く形です。こちらは「非常勤職員であって、資格の有無は問わない」とされています。

区分のA・B・C・Dの違い

単価表では、区分にA・B・C・Dの記号が付いています。幼稚園・保育所・認定こども園の場合はこうです。

区分何を置くかどんな施設か
A主任保育士などを補助する職員特別児童扶養手当の対象の子を受け入れている施設
B主任保育士などを補助する職員それ以外の障害児を受け入れている施設
C専門職(月90時間以上、週3日程度)特別児童扶養手当の対象の子を受け入れている施設か、定員90人以上の施設
D専門職(月60時間以上、週2日程度)専門職の要件を満たす施設(施設の条件なし)

補助する職員の区分(A・B)と専門職の区分(C・D)は、どちらか一方しか算定できません。留意事項通知によると、「特別児童扶養手当の対象の子」には、手当の要件にあてはまるのに所得制限で手当が出ていない子も含まれます。

国のFAQによると、専門職の時間は月ごとではなく年間で合計して、各月にどちらの単価を算定するかを決められます。たとえば60時間以上の区分なら、1年で延べ720時間あれば、夏休みで来ない月があっても各月とも算定できる、という例が挙がっています。CとDを月によって使い分けることもできます。

小規模保育・家庭的保育・事業所内保育で新しくできた療育支援加算は、専門職だけの区分で、記号の意味が違います。Aが月60時間以上(週2日程度)、Bが月30時間以上(週1日程度)です。同じ「A」「B」でも、保育所では受け入れている子の違い、小規模保育では専門職の時間の違いを指しています。

園がすることが、はっきり書かれた

どちらの区分でも、園には次の取り組みが求められるようになりました(留意事項通知の要件から要約)。

  1. 受け入れている障害児の一覧表を作り、職員の間で共有する
  2. 一人ひとりの個別の支援計画と個別の指導計画を作り、職員会議で一緒に検討し、保護者と連携しながら見直す
  3. 障害児通所支援事業所(児童発達支援など)と連携する
  4. 家族を支える(相談の体制、個別面談、ペアレントトレーニングなど)
  5. 地域の関係機関と連携する

子どもの側から見れば、その子に合った関わり方が、担任一人の頭の中ではなく、園全体で共有されるということです。 担任が代わっても、支援が途切れにくくなるはずです。

書類と取り組みが増える、と感じるかもしれません。ただ、この加算は、その分の人手(補助の職員や専門職)を置くためのお金でもあります。もし取り組みだけが増えて人が増えていないなら、それは保育士の頑張りで埋めるものではなく、園の体制として相談していいことです。

対象の障害児について、通知は1人目は市町村が認める障害児とし、2人目以降は施設で判断してよい、としたうえで「身体障害者手帳等の交付の有無は問わない」としています。

「障害児保育加算」は、保育所にはない

「療育支援加算」と一緒に検索されている「障害児保育加算」は、別のものです。

公定価格の加算としての障害児保育加算は、小規模保育や家庭的保育、事業所内保育など、地域型保育事業だけにあります。障害児2人に保育士1人を置くための費用です。こども家庭庁の事務連絡には「(特定教育・保育施設は加算対象外)」と書かれていて、保育所や認定こども園、幼稚園にはありません。

では保育所の障害児保育の費用はどうなっているのか。同じ事務連絡は、こう書いています。

障害児保育に要する経費については、地方交付税として措置されております

国から自治体に渡る地方交付税の中で手当てされていて、実際にどう使うかは自治体が決めます。そのうえで国は、自治体に対して「概ね障害児2名に対し保育士1名の配置を標準としつつ」、子どもの状況に応じて職員を置くようお願いしています。

明日、確かめられること

  1. 自分の園が療育支援加算を取っているか、どちらの区分か聞いてみる
  2. 専門職が来ているなら、来る曜日を知っておく。気になる子のことを相談できる時間です
  3. 障害のある子の個別の支援計画が、自分のクラスの子についても作られているか確かめる。作るときは、職員会議で一緒に考えることになっています
  4. 加算で置かれている補助の職員や専門職が、実際に自分のクラスの支援に入っているかを確かめる
  5. 障害のある子のための加配の職員が、自治体の制度でどう決まっているか、園長に聞いてみる

インクルーシブ保育そのものについてはインクルーシブ保育の記事に、加算の仕組みは加算の記事に書きました。

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