制度のきほん

私立幼稚園には2つの制度があります 無償化の形も保育料も違います

同じ「私立幼稚園」という名前でも、中では2つの制度に分かれています。 2015年に始まった子ども・子育て支援新制度で道が分かれ、そのまま今に至っています。

保育料を誰が決めるか、無償化がどう届くか、園に入るお金の名前まで違います。制度の話が噛み合わないときは、だいたいここが原因です。

3つに分かれています

こども家庭庁の資料(幼稚園関係者向け)が、新制度における私立幼稚園の位置づけを3つに並べています。

「施設型給付」を受ける認定こども園(幼保連携型)(幼稚園型)

「施設型給付」を受ける幼稚園

「施設型給付」を受けない幼稚園

3つ目が、いわゆる私学助成の幼稚園です。

ここで押さえておきたいのは、2つ目が独立して存在することです。保育はやらず学校教育だけを提供したまま、お金の受け取り方だけ新制度に変える。これができます。「新制度に移る」と「認定こども園になる」は別の話です。

お金の出どころが違います

同じ資料の「財政措置」の欄を並べると、こうなります。

施設型給付を受ける幼稚園施設型給付を受けない幼稚園
主な財源施設型給付(「標準時間」に対応)+私学助成(特別補助等)私学助成(一般補助・特別補助)
根拠法子ども・子育て支援法私立学校振興助成法
認可・指導監督都道府県都道府県
確認・指導監督市町村が「給付の支給対象施設」として確認なし

私学助成は園に対して出る補助金です。国から都道府県を通って学校法人に届きます。園の経常的な経費を支える形で、誰が何人通っているかとは別に、園という機関に対して出ます。

施設型給付のほうは性質が違います。本来は保護者に対する給付で、園がそれを代理で受け取る形になっています。金額は公定価格という全国共通のルールで決まり、地域区分や定員規模で変わります。園の収入が、通っている子どもの人数と認定区分で決まるということです。

なお、この資料には私学助成園の財源として「幼稚園就園奨励費」も並んでいますが、これは保護者の負担を軽くするための補助で、令和元年10月の無償化で施設等利用給付に置き換わっています。 新制度が始まったころの資料なので、そのまま読むとずれます。

保育料の決め方と、入園者の選び方が違います

同じ表の右側です。

施設型給付を受ける幼稚園施設型給付を受けない幼稚園
保育料公定価格(一定の要件の下で上乗せ徴収可)価格は設置者が設定
入園者の選考応諾義務(定員を超えた場合は選考可)建学の精神に基づく選考

保育料を園が決められるかどうかと、入園者を園が選べるかどうか。 ここが実務でいちばん大きい違いです。私学助成に残っている園には、この2つを手放したくないという理由があることが多いはずです。

無償化の届き方が違います

保護者にとっていちばん目に見えるのがここです。無償化の資料に、並べて書かれています。

施設型給付を受ける幼稚園・認定こども園(教育・保育給付1号)は、こうです。

所得にかかわらず 0円(不徴収)

私学助成園等(施設等利用給付1号)は、こうです。

所得にかかわらず 25,700円を上限に給付

※保育料が上限額を上回る場合の差額は引き続き保護者の負担

給付型は保育料そのものがゼロになり、私学助成は上限つきの補助です。 保育料が上限を超えていれば、その分は払い続けます。同じ「幼稚園が無償化された」という言葉でも、中身が違います。

預かり保育の扱いは、同じです

違うところばかり書きましたが、揃っているところもあります。預かり保育の補助は、どちらも同じ形です。

所得にかかわらず 11,300円を上限に給付

※共働き家庭等の場合のみ

給付型の幼稚園も、私学助成の幼稚園も、預かり保育については上限つきの給付です。ここは制度の違いが出ません。

その上限が、10月から上がります

令和8年度の予算資料に、給付上限額の見直しが載っています。令和元年10月の無償化開始から7年間、据え置かれてきた額です。

令和元年10月の3~5歳児の無償化時から据え置いていた給付上限額について、直近の物価水準や賃金動向等を踏まえ、右表のとおり見直しを実施する。

自治体・施設等の準備期間に鑑み、当該単価見直しは、令和8年10月から実施。(令和8年4~9月は現行単価を維持。)

見直しの内容はこうです。

対象現行見直し後
新制度に移行していない幼稚園(私学助成園)25,700円28,000円(+2,300円)
認可外保育施設等(0〜2歳)42,000円45,700円(+3,700円)
認可外保育施設等(3〜5歳)37,000円40,300円(+3,300円)
預かり保育等(0〜2歳)16,300円17,700円(+1,400円)
預かり保育等(3〜5歳)11,300円12,300円(+1,000円)

上限つきの補助を受けている側だけが上がる形です。給付型の園は保育料がもともとゼロなので、この見直しの対象にはなりません。

移らないほうが「申出」でした

制度が始まったときの既定がどちらだったかも、資料に書かれています。

※1 現行の私立幼稚園は、特段の申出を行わない限り「施設型給付」の対象として市町村から確認を受けたものとみなされる。

移らないほうが申出です。 いま私学助成に残っている園は、積極的に残る選択をした園だということになります。

加算の話が噛み合わない理由

処遇改善等加算は、子ども・子育て支援法の公定価格の中にある仕組みです。だから私学助成の園には届きません。

ただ、ややこしいことに、国の私学助成の側にも教員の処遇改善の補助があり、「中核リーダー」「専門リーダー」という同じ役職名が使われています。 制度は2本走っていて、名前だけ揃っている状態です。「うちも中核リーダーの話をしている」と言っても、根拠になっている制度が違うことがあります。

加算そのものの仕組みは「そもそも加算って何?」の記事に、処遇改善の3つの区分はこちらの記事にまとめてあります。どちらも施設型給付を受けている園の話です。

明日、確かめられること

  1. 自分の園がどちらかを確認する。 保育料を園が決めているか、自治体が決めているか。園が決めているなら私学助成の側です
  2. 無償化の受け取り方を見る。 保育料がそのままゼロなら給付型、上限までの補助で差額を払っているなら私学助成の側です
  3. 私学助成の園に子どもを預けている場合、10月からの上限を確認する。 25,700円が28,000円になります。手続きが要るかは自治体によるので、市区町村のこども関係の窓口に聞けます
  4. 制度の説明を読むときは、まずどちらの話かを見る。 「加算」「公定価格」「確認」という言葉が出てきたら給付型、「私学助成」「経常費補助」なら私学助成の側です

同じ名前の施設が2つの制度にまたがっているせいで、説明が噛み合わなくなります。 自分がどちらにいるかが分かれば、読むべき資料も、聞きに行く窓口も決まります。

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