「気になる段階」から園に人が来る 障害児支援の来年度予算
こども家庭庁が令和9年度の概算要求(障害児支援関係)を公表しました。総額は5,637億円で前年から276億円の増額。中身を見ると、診断がつく前の「気になる段階」から保育所に専門員が巡回する事業や、乳幼児健診の後を埋める事業が並んでいます。保育所に関わる部分だけ拾いました。
こども家庭庁が、来年度(令和9年度)の障害児支援関係の概算要求を公表しました。23ページの資料です。
障害児支援というと自分の担当ではない、と感じるかもしれません。ただ読んでみると、保育所に人が来る側の事業がいくつも入っていました。そこだけ拾います。
なお概算要求は「これだけ使いたい」という要求の段階で、決まるのは年末です。保育の予算の記事にも書いたとおり、この時点の数字は「そうなる」ではなく「そうしたい」です。
総額は276億円の増額です
| 概算要求額 | |
|---|---|
| 令和8年度 | 5,361億円 |
| 令和9年度 | 5,637億円(の内数) |
差は276億円です。大半は給付費で、資料にはこう書かれています。
(1)良質な障害児支援の確保 5,402億円+事項要求 障害児が地域や住み慣れた場所で暮らせるよう、必要な障害児支援に係る経費(児童福祉法に基づく入所や通所に係る給付等)を確保する。なお、障害福祉報酬改定等については、予算編成過程において検討を行う
報酬改定は年末送りです。ここは保育の概算要求で0〜2歳の支援が持ち越されたのと同じ形になっています。
「気になる段階」から園に来る事業
保育所に直接関わるのがこれです。地域障害児支援体制強化事業の中にあります。
巡回支援専門員整備 保育所等に巡回支援を実施し、障害が“気になる段階”から支援を行うための体制整備を図り、発達障害児等の支援の充実、家族への支援を行うとともに、インクルージョンを推進する
「気になる段階」という言葉が、国の予算資料に書かれています。診断がついてからではなく、その手前です。
事業の中身として挙がっているのは、巡回等の活動計画の作成、巡回等支援、戸別訪問等、関係機関との連携、地域の体制整備への関与、専門性の確保。園に来て見て、助言して、つなぐという形です。
負担割合は市町村事業なら国2分の1・市町村2分の1。実施するかどうかは自治体が決めます。 国が予算を積んでも、自分の市がやらなければ園には来ません。
この事業はインクルーシブ保育の記事で書いた流れの、実務側にあたります。
健診のあとが埋まります
もうひとつ、新しい事業が入っていました。「発達に特性のあるこどもへのアセスメント強化・伴走的支援推進事業」です。
こどもの発達支援に関する知識と技量を有する専門員を確保し、乳幼児健診後や親子教室等の場を活用して、こどもの発達の特性のアセスメントを行い、その結果を家族やこども家庭センター等と共有しながら、必要に応じて児童発達支援・保育所等訪問支援等の専門的な支援につなげる
そして、こう続きます。
乳幼児健診等において、こどもの発達の特性への「気づき」の段階から利用できる身近な場所で安心して親子が通える教室等を開催する
健診で何か言われたあと、次にどこへ行けばいいか分からない。 そこを埋める設計です。園から見ると、保護者が「健診で言われて」と相談してきたときに、行き先が増える可能性があります。
こども大綱の記述が根拠として引かれていました。
障害や発達の特性を早期に発見・把握し、適切な支援・サービスにつなげ
園の外にも広げる話が入っています
インクルージョン推進の事業に、こういう項目がありました。
保育所等訪問支援の訪問先となる施設以外の地域の習い事や居場所等へ、インクルージョン推進員が訪問し、合理的配慮に基づく活動を提供するための助言等を行う
保育所等訪問支援は、園や学校に支援者が来る制度です。その対象外だった習い事や居場所にも広げるという話になります。
ほかに、障害のある子とない子が一緒に参加する自然体験活動や文化芸術活動への助成、放課後等デイサービスできょうだい児や障害のない子を受け入れる「インクルーシブ型事業所モデル事業」も挙がっていました。
園の中だけでインクルージョンを完結させない、という方向だと読めます。
保育士として押さえるなら
要求段階なので確定ではありませんが、方向としてはこの3つです。
- 診断前の「気になる段階」から、園に専門員が来る仕組みを広げようとしている
- 健診の後から園につながるまでの間を埋めようとしている
- 園の外(習い事・居場所)にも支援を広げようとしている
いずれも保育士が新しく何かをする話ではなく、園に来る人と、つなぐ先が増える話です。
明日、確かめられること
- 自分の市に巡回支援専門員が来ているか聞いてみる。 実施は市町村判断なので、来ている市と来ていない市があります
- 来ているなら、誰が窓口になっているか。 園長か主任が対応していることが多いと思います
- 保育所等訪問支援を使っている子がいるか。 これは保護者が契約する制度で、園に支援者が入ります
- 健診で指摘を受けた保護者から相談されたとき、どこを案内しているか。 市の窓口を1つ知っておくだけで違います
年末の予算編成で、このうちどれが残るかが決まります。報酬改定と合わせて、そのときにまた整理したいと思います。
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