保育所等の虐待、初の全国集計は85件 いちばん多いのは1歳児クラスでした
2025年10月に保育所等の職員による虐待の通報が義務になってから半年分の全国の状況を、こども家庭庁が初めてまとめました。通報は1,059件、自治体が虐待と判断したのは85件、虐待を受けた子どもは175人。年齢別では1歳児クラスがいちばん多い結果でした。国は、障害福祉や介護のように、虐待防止の委員会や研修を義務にすることも視野に、制度の見直しを検討するとしています。
2025年10月から、保育所や幼稚園などの職員による虐待について、通報が義務になりました。その最初の半年分の全国の状況を、こども家庭庁が初めてまとめ、2026年10月26日の審議会(子ども・子育て支援等分科会)に出しました。
これまでは、都道府県ごとの公表で一部の数字が分かるだけでした。全国の数字が出たのは、これが初めてです。
ひとまず、この表だけで足ります
対象は2025年10月1日から2026年3月31日までの半年分で、保育所、幼稚園、認定こども園、小規模保育、認可外保育施設、学童保育などが含まれます。
| 件数 | |
|---|---|
| 虐待が疑われるとして通報があった | 1,059件 |
| そのうち、自治体が事実確認をした | 889件 |
| 虐待と判断された | 85件(9.6%) |
| 虐待ではないと判断された | 537件(60.4%) |
| 判断できなかった | 85件(9.6%) |
| 調査を続けている | 182件(20.5%) |
| 虐待を受けた子ども | 175人 |
割合は、事実確認をした889件に対するものです。1件の事案で複数の子どもが被害を受けていることがあるので、子どもの数は件数より多くなっています。
いちばん多いのは1歳児クラス
虐待と判断された85件で、被害を受けた子ども175人の年齢はこうでした。
| 年齢 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 0歳児クラス | 15人 | 8.6% |
| 1歳児クラス | 36人 | 20.6% |
| 2歳児クラス | 26人 | 14.9% |
| 3歳児クラス | 8人 | 4.6% |
| 4歳児クラス | 12人 | 6.9% |
| 5歳児クラス | 22人 | 12.6% |
| 異年齢のクラス | 15人 | 8.6% |
| 小学生 | 31人 | 17.7% |
| 不明 | 10人 | 5.7% |
0〜2歳児クラスを合わせると77人で、全体の4割を超えます。
子どもの側から見ると、1歳児は、されたことを言葉で大人に伝えるのがまだ難しい年齢です。家に帰って「先生にこんなことをされた」と話せない子が、いちばん多く被害を受けていたことになります。周りの大人が気づいて通報する仕組みが、この年齢では特に大事になります。
小学生が31人いるのは、学童保育や児童館も対象に入っているためです。
数字の読み方
この85件は、最初の半年分の、資料が作られた時点(2026年10月2日)の数字です。調査を続けている事案が182件あり、これから虐待と判断されるものが出てくる可能性があります。判断できなかった85件もあります。
また、通報の仕組みができたばかりの時期の数字なので、前の年と比べて増えた、減ったとは言えません。比べられるようになるのは、来年以降です。
都道府県ごとの公表で何が出るのか、園の名前は出るのかは、虐待の「公表」の記事にまとめました。
国は、委員会や研修の義務を検討する
国は、この結果やこども性暴力防止法の施行などをふまえて、虐待の発生や再発を防ぐ取組について、「制度的な対応の在り方を検討していく必要がある」としています。
その参考として資料が挙げているのが、障害福祉と介護の分野です。
障害福祉・介護分野においては、虐待防止の取組を強化する観点から、各運営基準において虐待防止委員会の設置、従業者への研修の実施、虐待の防止等のための責任者の設置等が義務化されている。
障害福祉の分野では、虐待防止の委員会が、研修の計画づくり、職場の環境のチェック、虐待が起きたあとの検証と再発防止策の検討を担うとされています。保育所に同じ義務ができるかはまだ決まっていませんが、国はその方向を視野に入れて検討を始めた、ということです。
あわせて、保育所などの職員向けの研修の教材を、今年度中をめどに公表する予定だとしています。
個人の注意ではなく、園の仕組みで防ぐ
委員会や研修、責任者というのは、どれも一人の保育士の心がけではなく、園の仕組みです。
国の補助事業も、保育士への研修とあわせて、施設長など園の中で指導的な立場にある人に向けた「職員のストレス及びハラスメント対策」の研修を支援するとしています。虐待を一人の保育士の資質の問題で終わらせず、職場の環境や園の運営の問題として防ぐ、という考え方です。
一方で、子どもを傷つける行為をした大人の責任が消えるわけではありません。通報の仕組みと、園の防止の仕組みの両方があって、はじめて子どもが守られます。
明日、確かめられること
- 自分の園に、虐待や不適切な関わりについて相談できる人や、園内の研修があるかを確かめる
- 通報の窓口が市町村か都道府県かを、園のマニュアルや掲示で確かめておく。通報は義務で、通報したことを理由に不利益な扱いをすることは法律で禁じられています(不適切保育の記事)
- 自分の都道府県の公表(2025年度分)が出ているかを見る
- 国の研修の教材が公表されたら、園内研修で使えるかを見る
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